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ぼうずやのにっき

映画『かぐや姫の物語』を観てきた

「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」からはじまる映画『かぐや姫の物語』を観てきた。ネタバレ注意。

きっかけは単純だけれど、金曜の夜にテレビで放送された『火垂るの墓』の後の宣伝を観て、行きたくなった。実を言うと、もっと前から知っていて、映画『攻殻機動隊ARISE』の上映前の宣伝で観たときから「今から観るこれよりあちらの方が面白そうじゃないか」と思っていた。テレビの宣伝を観て思い出し、足を運ぶことになった。

冒頭に書いた通り『竹取物語』を原作としていて、ほとんどそれに従っている。それゆえに違和感を覚える箇所もあるが、おおむね良い映画だったと思う。

まず良かったのが絵のタッチ。基本はやさしいタッチで、なごやかな気分にさせる。『まんが日本昔ばなし』ほどではないが、昔、絵本で見たことがありそうな絵だった。宣伝で使われていたあの走るシーンのように荒々しいタッチの部分もある。感情がうまく表現されていると思う。かぐや姫の冒頭の山の雰囲気も良いし、都の屋敷も良い。

あとは、先に書いたように原作に近い点。どこぞの泡にならない人魚姫とは違って、最後は、きっちりと月に帰ってしまう。驚くほどあっさりと物語の幕は引かれる。でも、ぼくはその方がずっと良いと思っていて、現代版だのなんだのと幼馴染みとくっつかれたりしたら、「こんなのは竹取物語ではない」と怒鳴り散らすところだ。花火でも打ち上がりそうな盛り上がりの中で幕を引く、どこぞの人魚姫とは違う。

他にも、細かい部分で笑いを取り入れていて、かぐや姫について仕事をしているなまずのような顔をした女などはマイペースでほっとさせる。5人の大臣が来たときにひきずっている布を直していたりするシーンは和む。原作と話の流れはすこし変わってはいるが、必死な大臣達をおかしく描いていた。

うーん、あとは日本的だなと思うところがいくつかあったような。全編通じて、肝心なところでものを言わない。押し黙るだけだったり、心配そうな表情を見せるだけだったり。感情をペラペラしゃべったりしない。察せよ、と。外国人が見たら分からないとかありそうだ。それがきちんと読み取れるように作ってあって良い。

最後の月のところの演出がよく分からないのだけれど、まあ、良かった。スタッフロールでの音楽も良かった。

30 min.