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ぼうずやのにっき

面接にて迷う

面接にて迷う。

「何がやりたいの」と聞かれて迷う。迷ったあとに出た言葉が「つくりたい」だった。社会人経験のある人間が転職の面接で言うことじゃないなと思うと同時に石工(いしく)の話を思い出した。

確かドラッカーの話だったと思うのだけれど、要約すると、石工がさんにん居て、仕事の目的をたずねたときに、ひとりは「金のため」、ひとりは「(石を切る)技術を見せるため」、ひとりは「建物を建てるため」と答えたという話。

理想論や建前になるのかもしれないけれど、面接の場では目的の面で一致していることを主張する場合が多い。例えば、お客さんの満足している姿がどうのこうのとか、あるいはその会社の理念にあった、それっぽいことを。

ただ、ぼくは仕事で疲れていて、頭が悪くて、あるいはひねくれていて、「何がやりたいの」という問いに「つくりたい」と答えた。ぼくはふたりめの石工だと思った。ぼくは普段からそう考えているからだろう。仕事ではなく趣味でやればいいのに、という返しを覚悟した。

「具体的にやりたいこと」を聞かれて迷う。迷ったあとに出た言葉は「何でもいい」。相手を困らせるために話しているのかと、自分で自分にツッコミを入れたくなった。それは企画力、あるいは自主性、積極的姿勢の低さを露呈しているようなものだ。

先のやりとりと合わせて「エンジニアはそういうもの」とフォローされてしまった。

口には出さなかったけれど、ぼくに自信がないのは、ぼくに技術力がないからだ。もちろん母集団にもよるけど、この業界をリードできるだけのものはない。それでも、ぼくはコンピューティングに関連するあれやこれやの技術が好きだ。そういうものを学ぶのも好きだ。それが楽しいから。それが学べそうだと感じたから魅力的だと感じる。

一方で、これが会社の面接で、仕事だから。お金をかせがないといけなくて、つくったものが評価されないといけなくて、相手の求めるものでないといけない。そして、ぼくみたいのでも人件費がかかる。「ぼくが楽しいことをやりたいので入れてください」と言うやつが来たら、それだけを聞けば、きっと NO だろう。ぼくが経営者なら。

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