『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観た。
歌と踊り、ミュージカルが救いである映画。より正確には、それ以外の救いがない映画だ。
主人公が苦しいとき、ミュージカルがはじまる。主人公が苦しい現実から逃れることのできる空想の世界のミュージカルだ。主人公にとってミュージカルは救いだ。同時に観ている人間も苦しい展開から逃れられる救いになっている。楽しいミュージカルの続く間は悲しい出来事が起きない。
わりと嫌がられるような気もするが、ぼくはこういう表現方法が好きだ。音を大きく聞かせるには、大きく鳴らすだけではなく、その前の音を小さく鳴らすと良い。ミュージカルの楽しさを強調するには、それ以外を楽しくなくすればより楽しく感じられる。
これは、もちろん、その逆もそうだということを強調したい。そしてこの映画はそれもまた強調されている。「ミュージカルが救いだ」と書いたのだけど、同時にこれはあくまでも現実逃避でしかない。楽しい空想の世界は苦しい現実の世界を強調するものでもある。どちらかと言えば、現実世界があって空想世界があると思うし、この映画は苦しさを強調するために楽しさを見せているという解釈のほうが自然かもしれない。
ミュージカル以外の、かみあっていない気持ち悪さもあるのだけど、時間がないのでもういいや。
なんだか頭が痛い。