bouzuya.hatenablog.com

ぼうずやのにっき

『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』を読んだ

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』を読んだ。

https://blog.sushi.money/entry/2019/01/15/193117 を読んで読みたくなった。

↑の記事からも分かるのだけど『エンジニアのための時間管理術』 (2018-12-12) のような時間管理の本ではなく時間に限らない「欠乏」を軸に書かれている。

序章から引用する。「欠乏は人の注意を占拠し、それが限定的な強みをもたらす。差し迫ったニーズにはうまく対処できるのだ。しかしもっと広く考えると、それには代償がともなう」

この本では欠乏による様々な影響や例が書かれている。そして最終的に「スラック」つまりはゆとりが重要だというところに落ち着く。↑の記事ではスラックを中心に感想が書かれている。

だからというわけではないのだけど……。ぼくが個人的に面白いと思ったのは欠乏の良い面だ。欠乏によってもたらされる限定的な強みだ。「欠乏」と聞いたときのイメージは悪いものだ。ただこの本では良い面も示されている。これは「集中ボーナス」と表現されている。

たとえば締切が近づくとそれに集中する。……というよりはとらわれる。さきの引用で言えば「注意を占拠」される状態だ。それ以外のことに注意を払えなくなる。これは悪い面での表現だ。逆に言うと締切が近づくと「集中ボーナス」が得られる。通常よりも高いパフォーマンスを得られる。ぼくは経験則的によく知っている。締切が近づかないと人は動かない。

ぼくは締切を細かく切ることが多い。実はそれは擬似的な欠乏を生み出して集中ボーナスを得ていると言えるのではないか。 (ゆとりを十分に確保した) 悲観的な計画を立てそこからの遅延を見ながら進めるというのは集中ボーナスとスラックの両立を狙う良い方法なのかもしれない。

この本の結論では欠乏はその前の豊かなタイミングでの怠慢にあるのではないかという点に触れている。ゆとりは必要だ。それがなければ欠乏が欠乏を生む状態などに陥りかねないし正常な判断ができなくなる。一方で欠乏 (による集中ボーナス) がなければ締切には間に合わないかもしれない。

「欠乏は悪い」・「ゆとりが要る」だけでなく何かが欠乏したときの人の行動・特徴を把握してうまく活かしていきたい。